知っておきたいお香典の相場
香典に包む金額を考える際に基準となる要素はひとつではありません。絶対的な金額の決まりはありませんが、基本的には故人との関係性で相場が決まりますが年齢によっても香典の相場は変わります。相場を把握しておくと香典に包む金額で悩む必要もなくなりますから、ひとつの目安として覚えておくと良いでしょう。
今回の記事では、知っておきたいお香典の相場について詳しくお伝え致します。
知っておきたい香典の基本マナー
香典とは、故人の霊を供養する為の香の代金という意味で線香や花の代わりに故人の霊前に供える金品のことです。また、亡くなった方のご遺族が葬儀や法事を行うための費用を故人にゆかりのある方が援助するために出し合う金品という意味合いもあります。香典の代わりにお線香やろうそく・お花などのお供え物の形で持参される場合もあり、香典の金額相場については香典を包む方の年齢により相場が異なり年齢が上がるにつれ高くなり、香典の金額相場を知るうえで大きなポイントとなるのが香典を包む方と故人との関係性にも注意が必要です。
慶事ではお金を包む際には新札を用意するのが一般的ですが、香典のような弔事では新札を包むことはマナー違反です。また、相場の金額を改めてみて頂くと分かりますが、二・四・六など偶数になる金額は避けるべきものとなっています。包む金額は一・三・五・七など奇数になるようにお札を用意するようにしましょう。また香典として包む金額は、奇数でも「九」が含まれる金額は避けるようにしましょう。九という数字は「苦」を表す忌み数とされています。九の他には「十四」や「十九」も忌み数となる場合がありますので注意が必要です。同様に「四」も「死」を表す忌み数となる上に偶数はもともと避けた方がよい数字なので注意をする必要があります。
また、香典の表書きは筆で書くことが基本となりますが、その中でも薄い墨には悲しみをあらわす気持ちが込められているので薄い墨を使うのがより良いとされています。香典だけではなく弔事や仏前へのお供えも薄い墨で書くのがマナーとなっていますので一緒に覚えておくと良いでしょう。金額や住所を記入する裏書きでは読みやすさや利便性の面を重視し万年筆やボールペンでも良いともされています。
知っておきたい関係別の相場
香典の金額相場を知るうえで大きなポイントとなるのが香典を包む方と故人との関係性です。包む方にとって故人がどのような人物であったかにより包むべきとされる金額の相場も大きく変わってきます。故人が親族の場合であれば香典の金額は血縁が近いほど高くなる傾向にあり、香典の金額は基本的に五千円・一万円といった端数のない金額が望ましいです。故人が親族の場合の香典の相場については以下の通りです。
- 故人が親族の場合の香典の相場
- 父親・母親……五万円から十万円・十万円以上
- 兄弟・姉妹……三万円から五万円
- 子供……………五万円から十万円
- 孫………………一万円から十万円
- 叔父・叔母……一万円から三万円
- 義父・義母……三万円から十万円・十万円以上
- 祖父・祖母……一万円から五万円
仕事をされている場合は会社や仕事関係で葬儀に参列する機会もあるかと思います。会社や仕事の関係者が亡くなった際に持参する香典の相場は以下の通りです。
- 故人が仕事関係者の場合の香典の相場
- 社長……五千円から一万円
- 上司……五千円から一万円
- 同僚……五千円から一万円
- 部下……五千円から一万円
この様に会社の関係者に香典を包む場合は基本的に五千円から一万円の間が相場ですが、生前に非常にお世話になったり付き合いが親密だったりする場合はそれ以上の金額を包んでも良いでしょう。会社関係の方の葬儀は親族のものとは違う為、香典の相場も分かりにくいですし故人との関係性は様々であり規則や相談だけでは検討しにくい場合もあります。仕事関係で香典を包む場合に取引先の関係者に対して包むこともあるかと思いますが、取引先の社長など重役が故人の場合は一万円以上、それ以外では三千円から一万円が一般的な相場といえます。
- 故人が友人や同級生の場合の香典の相場
- 五千円から一万円
また、故人が友人や同級生などの場合は基本的には五千円から一万円が相場です。ただしこの場合も生前に非常に仲がよかった場合は一万円以上を包む場合も多く見られますし、学生の場合であれば無理に香典を包む必要はありません。
香典を持参する場は葬儀だけではなく、故人をしのぶ場である法要も挙げられます。法要の場合は種類によっておおよその金額が決まっている場合が多いです。
余談になりますが以下に挙げるのが法要ごとの香典の相場となりますので併せて参考にしてください。
- 法要の香典の相場
- 初盆・新盆……一万円から二万円
- 初七日…………五千円から二万円
- 四十九日………一万円から二万円
- 一周忌…………一万円から二万円
- 三回忌…………五千円から一万円
- 七回忌…………三千円から一万円
- 十三回忌………三千円から一万円
- 十七回忌………三千円から一万円
- 二十三回忌……三千円から一万円
- 三十三回忌……三千円から一万円
- 五十回忌………三千円から一万円
上記に示した金額は一人辺りのものですから夫婦で参列する場合は二人分を包むようにします。
知っておきたい年齢別の相場
香典に包む金額の相場は年齢によって異なります。基本的には後にお伝えする故人との関係性で相場が決まりますが年齢も金額に影響するものです。ここからは50代以上の場合、30代・40代の場合、20代の場合に分けて包むべき金額の相場をお伝え致します。
- 年齢別の相場
- 50代以上の方……相場の上限
- 30代・40代の方…相場の平均的な金額
- 20代の方…………相場の下限
まず初めに50代以上の方は故人との関係性によって決まっている相場の上限を用意する事が多いです。例えば故人との関係が友人や同級生に該当する場合は香典に包む金額の相場は五千円から一万円ですから、その上限である一万円を支払うケースが多いということです。年齢が50歳を超えている場合は、まずは故人との関係性から金額の相場を確認しその上限の金額を包むようにしましょう。続いて30代・40代の方の場合ですが、故人との関係性によって決まっている相場の平均的な金額を包むと良いとされています。例えば相場が五千円から一万円であれば、七千円程度が目安となります。もちろんそれ以上でもそれ以下でも問題はありませんから、あくまで目安として相場の平均的な金額を香典に包むという点を心掛けましょう。30代・40代であれば無理をして上限の金額にする必要はありませんから経済的に大きな負担とならないように金額を決めましょう。最後に、20代の方の場合ですが、故人との関係性によって決まっている相場の下限を用意することも多いです。社会人になりたてであったり、一人暮らしを始めたばかりだったりすると一万円以上の金額を用意するだけでも大きな負担となるものですから、相場が五千円から一万円であれば、下限である五千円を包んだとしても問題はありません。自分の生活にあまり大きな負担となってしまわないようにしましょう。故人への想いがこもっていればいくらであっても気持ちは伝わるものです。無理をせずに香典に想いを込めることが大切です。
知っておきたいお香典の必要性
先にお香典の相場についてお伝えしましたが、お香典を渡す必要の有無はどうでしょうか。例えば喪主の方が葬儀の案内状などで香典の辞退をしている場合などは別になりますがそういった理由がない場合には、香典には弔意をあらわすものであるだけでなく日頃からの付き合いへの感謝をあらわすものという側面も持っていますから、身内であっても香典は包むようにするのがマナーでしょう。先に紹介してきました香典の相場のように、基本的には親等が近いほど相場の金額は上昇し遠くなるほど下がります。これは一般的な相場のお話になりますので、その相場に捉われず日頃から付き合いが深い方には感謝の気持ちを込めて香典を包むという事にも意識を向けると良いですね。また、香典に対して相手の方も香典返しとして此方に何かしらのかたちで贈ってくるものもありますから、香典として包む金額があまりにも相場とかけ離れているようでは後々のトラブルの元凶となってしまう場合もありますのでマナーをしっかりと心得ておく必要があります。
身内が亡くなった場合には香典は包むようにするのがマナーであることをお伝えしました。最初に少し触れた通り場合によっては香典を包まなくても良い状況もあります。具体的には、ひとつは喪主の方が香典を辞退している場合です。この場合については先に少し触れましたが、近年では喪主の方の考え方や故人の意志によって葬儀の際に香典を辞退するケースも増えてきているのです。喪主の方からはっきりと香典を辞退するという旨を伝えられた際には例えどんなに親しい身内や間柄であった場合でも香典を包む必要はありません。基本的には香典を辞退している旨の確認は、葬儀の案内状に記されていたり葬儀の際に故人の家に貼られる忌中に書かれているところから確認する事が出来ますので通夜や葬儀に向かう際には事前に確認しておきましょう。また香典を辞退している場合は、香典返しも贈られません。
また、同居していた親が亡くなった場合に、自身が喪主である際には香典を渡すことはありません。亡くなった親と生前に同居していてもしていなくても自身が喪主をつとめる場合にも同じことが言えます。しかし、自身が喪主をつとめない場合でも、一般的には亡くなった親と同居していた場合には香典を包む必要はないです。ただしここで注意が必要なのが、香典はあくまでも慣習によるものですので個人の考え方に依るところも大きく関与します。同居していれば香典を包む必要が必ずないとは一概に言える訳ではありませんので、時と場合に合わせた行動をするようにしましょう。